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エボラより恐ろしい?中東呼吸器症候群=MERS

2012年

 サウジアラビアで初めて患者とウイルスが確認される。2003年に世界で流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)と同じコロナウイルスの仲間の新種。家畜のヒトコブラクダから患者と同じウイルスが見つかっており、鼻水やつばなどを通じて人間に感染するとみられている。野生のコウモリからも同じウイルスが見つかったとの報告もある。WHO(世界保健機構)は「はっきりしたことはわかっていないが、過去のある時期にコウモリからラクダに感染したと考えられている」としている。人では感染から2~14日で発熱やせき、息切れなどの症状が出て、重い肺炎を起こす人もいる。

2013年

英医学誌ランセットに発表された研究によると、MERSコロナウイルスは季節性インフルエンザに比べて感染力はそれほど強くないとわかった。1人の感染者が何人に感染させるかを見る指標で、MERSコロナウイルスは「1未満」。季節性インフルエンザは「1・3程度」とされている。

 
欧州の科学誌に掲載された米国の研究によると、MERSコロナウイルスが環境中で感染力を維持できる時間が比較的に長いことがわかった。研究によると、MERSコロナウイルスの活性は「気温20度、湿度40%」の環境では48時間続く。一方、季節性インフルエンザウイルスは4時間以上、活性は続かなかった。

2015年

5月20日
韓国で中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染が確認された。患者の男性はサウジアラビアやUAE(アラブ首長国連邦)などを訪れ、5月4日に帰国。1週間後に発熱などを訴えて診療所を受診したが、MERSと診断されるまで複数の医療機関で入退院を繰り返したという。
6月

感染症専門家でエボラウイルスの発見で知られるピーター・ピオット英ロンドン大教授は都内で会見し、韓国で死者を出している中東呼吸器症候群(MERS)には空気感染する可能性があるため、患者の血液や体液に接触することで感染する「エボラ出血熱より大きな感染拡大リスクがある」と指摘した。

6月4日

韓国で中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染が拡大していることを受け、厚生労働省門司検疫所支所(北九州市門司区)は、下関市下関港国際ターミナルにポスターを貼り注意を呼びかけている。ポスターでは、韓国からの帰国者と入国者のうち、発熱やせきなどの症状があったり、MERSが疑われる患者と接触した可能性がある人について、検疫官に申し出るよう呼びかけている。

 

検疫官は検査場で、サーモグラフィーを使って全乗客の発熱の有無も調べている。同省は、「下関は定期船も出ており、警戒心を持って業務に当たっていく」としている。同ターミナルからは、韓国・釜山とを結ぶ「関釜フェリー」が1日1便、出航している。 

6月5日

韓国の文亨杓保健福祉相は、最初の患者が入院し30人の感染者が出た病院をソウル南方の「平沢聖母病院」だと明らかにし、5月15日から29日までに訪れた人は名乗り出るよう呼び掛けた。

 

韓国政府はこれまで「不安を招くから」という理由で、病院名を公表していなかった。だが、同病院の病室の天井に設置されたエアコンのフィルターからウイルスが検出されていたことが判明。院内が広範囲に汚染され、その後も多数の外来患者や見舞いに訪れた者が「感染した恐れがある」と説明している。

 

 南西部、全羅北道の女性(72)が、感染の疑いがあるとして自宅隔離を指示されたのに無視し、近隣住民と自由に接触していたことが判明した。当局は感染拡大の恐れがあるとみて、女性が住む人口約100人の集落を封鎖することを決定した。

 

女性は、多数の院内感染者が出た平沢聖母病院に入院後、5月下旬に退院。平沢市内の息子の家にとどまっていたが、隔離を指示されると全羅北道の自宅へ移り、今月4日に高熱が出るまで自由に出歩いていたという。息子も感染が確認されている。

 

韓国での中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス感染者は首都ソウルや近郊の平沢市、中部の大田市周辺に集中していたが、広範囲に拡大する様相となっている。

6月6日

国保福祉省は、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの患者の検体を米疾病対策センターCDC)などと協力して検体を分析した結果遺伝子検査した結果、サウジアラビアなど中東地域の標準的ウイルスと99・55%一致したと発表した。韓国内では「ウイルスが変異して強毒化したのではないか」との懸念が出ていたが、これを打ち消すものといえる。

 

ソウルの大型病院での三次感染者は計7人となり、保健当局は病院の訪問者ら約600人を追跡調査している。同病院の感染源となったとみられる患者は、ソウルの南約60キロの京畿道平沢キョンギドピョンテク市の病院からバスで移動していた。当局は同じバス利用者に隔離措置を取った。

 

感染者は9人増え、50人になった。

 

光州市と全北淳昌郡保健医療院は、MERSの陽性判定を受けた患者を診療し、『自宅隔離対象者』となっていた医師が、夫人と共にフィリピンに出国し、翌日帰国していたことが分かったと明らかにした。 関係者によると、同医師は「MERSの症状が全くない」と主張し、自宅隔離対象者となっていることに強く反発していたという。 

6月7日

韓国政府はこれまでの「MERSコロナウイルス」の感染はすべて病院内で起きたとして、該当する6つの病院の名前を公表した。「MERSコロナウイルス」の感染は、中東から帰国した男性が入院した中部のピョンテクにある病院から広がったとみられているが、公表された病院の中には、人口が集中するソウルにある韓国でも有数の大規模な病院が含まれている。

 

高まる市民の不安に応じる形で、ソウル市の教育庁はこの病院がある地区とその周辺の57の小学校を8日から3日間、休校にする措置をとることになった。このほか独自の判断で休校に踏みきっている学校も加えると、ソウルだけで82の小学校が休校となっている。

 

国際大学スポーツ連盟(FISU)は、韓国南西部の光州で7月に行われる大学生の国際総合大会、ユニバーシアード夏季大会の開催について、韓国での中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染拡大の影響はないと、医事委員長名で声明を発表した。

 

声明では「韓国政府は厳しい対策を取っており、感染拡大は極めて限定的」との認識を示し「今後も状況を注視し続けるが、大会への影響はないと信じている」とした。

 

大会は7月3日から14日まで行われる。大会組織委員会は世界各地から選手、関係者、報道陣など約2万人の参加を見込んでいる。日本も361選手を派遣する。

6月8日

韓国の保健福祉省は、新たに23人の感染が確認されたと発表。これまでに感染が確認されたのはすでに死亡した5人を含め87人となった。

 

韓国内の新たな患者のうち17人はソウル市内にあるサムスンソウル病院で感染したとみられている。患者の中には16歳の男子高校生もおり、未成年者で初めて感染が確認された。

6月9日

韓国の保健福祉省は、MERSによる死者が7人、死者を含めた感染者は95人になったと発表。

 

新たに確認された感染者は8人。香港政府など海外の一部には韓国への渡航自粛を勧告する動きも出始めており、同省は「今週が感染拡大防止に向けたヤマ場になる」との見方を示した。

6月10日

全羅南道の保健環境研究員がMERS2次検査の結果、陽性判定を受けた。研究員は先月27日、肺炎のためサムスンソウル病院応急室に5時間ほどいる間、14人目の患者と接触している。研究員は6日、自分の車で全羅南道麗水の親せきの結婚式に出席しており、125人の結婚式出席者と接触したことが確認されている。この時点で隔離者は3400人を超えている。

6月11日

韓国大統領府は、14日から予定していた朴大統領の訪米を取りやめると発表。MERSに対応するためというのがその理由。

 

国保福祉部は、MERSの感染者が新たに14人増え、122人になったと明らかにした。新たな感染者14人のうち8人がサムスンソウル病院で感染。このうち、77歳の女性は外来患者として初の感染者で、緊急治療室の外で感染が発生したことから注目されている。女性は先月27日に同病院を訪れていた。 

 

MERSコロナウイルスによる現時点での死亡者数は9人。3000人が隔離対象となっている。一方で、テストで陰性が判明した641人が隔離対象から外れた。新たな感染確認者には39歳の妊婦を含んでいる。妊婦には抗ウイルス薬などを使いにくいが現在の容体は安定しているという。妊婦の感染は世界でも事例が少ない。

6月12日

  韓国の保健福祉省は新たに4人が「MERSコロナウイルス」に感染していたことが確認されたと発表。感染者は126人となった。また、70代の女性が12日、死亡し、死者は合わせて11人となった。 

 

  パク・クネ大統領は午後、ソウル郊外のキョンギ(京畿)道にある対策本部を視察に訪れ「国家的な困難に直面している。MERSが終息するまで政府も最善を尽くすので、皆さんももっと努力してほしい」と述べ、職員らを激励した。  

 

一方、韓国南部のキョンサン(慶尚)北道の当局は、保健福祉省が発表した126人の感染者とは別に、50代の男性の高校教師の感染が確認されたと明らかにした。男性は先月末にソウルの病院を訪れて感染したとみられ、今月7日に隔離されるまで授業を行っていたことから、当局は生徒と教職員100人余りについて急きょ調査を進めている。

6月14日

国保福祉省は、多数の院内感染者を出したソウルのサムスンソウル病院で5月27日に感染した男性医師(37)が、隔離されずに今月10日まで勤務を続けていたと明らかにした。   また、13日にMERSの感染者7人が新たに確認されたと発表。これで感染者は145人になった。新たな死者は出ていない。

 

新たな感染者7人のうち4人は、大量の院内感染者を出したソウルのサムスンソウル病院で感染したという。現在同病院は外来患者の受け付けを中止している。 

6月15日

国保福祉省は、新たな感染者が5人確認され、感染者は計150人になったと発表。14日に男性2人が死亡し、死者は16人になった。

 

新たな死者のうち1人は釜山の病院で亡くなったが、釜山で死者が出たのは初めて。隔離対象者は15日時点で5,200人を超え、事態終息の兆しは未だ見えない。

 

全感染者の半数弱の71人はサムスン病院で院内感染。同病院ルートの感染者把握と隔離の成否が今後の感染拡大を阻止できるか否かの鍵となるが、多数の人と接触後に感染が発覚する関係者が続出しており、病院の管理態勢への批判がさらに高まりそうだ。

 

サムスン病院では、患者搬送係の男性(55)が発熱などの感染の症状が出た状態で勤務し、13日感染していたことも判明。同病院は外来患者の受け入れ中止を決めたが、病院全体の隔離措置は取っていない。

6月16日

MERSの感染が広がる韓国で新たに3人の死亡と4人の感染が確認され、死亡者は合わせて19人、感染者は154人となった。

 

国保福祉省は感染が確認されたあと治療を受けていた3人が退院したと発表し、感染者のうちこれまでに退院したのは17人。

 

現在、5500人が自宅や医療機関での隔離の対象となっているが、韓国政府はその中に日本人2人が含まれていることを15日に明らかにしている。隔離の対象となった日本人2人は感染した患者がいた医療機関を訪れたため、念のため自宅での隔離の対象者になったが、発熱の症状なども出ておらず、すでに日本に帰国しているという。

 

日本の厚生労働省によると、韓国で患者がいる医療機関を訪れ、日本に帰国した複数の人について、検疫所などが健康状態を確認しているという。

 

ドイツ北部ニーダーザクセン州の保健当局は、中東でMERSコロナウイルスに感染し、治療を受けていたドイツ人男性(65)が6日に死亡していたと発表した。DPA通信が伝えた。

 

死亡した男性は、2月にアラブ首長国連邦アブダビに旅行し、家畜市場を訪れた際に動物から感染したと考えられている。同州の病院で治療を受けいったん回復に向かったが、別の疾患を併発して再び症状が悪化したという。当局によると、現時点で男性からの感染は確認されていないという。欧州でMERS感染に関わる死者は今年に入って初めて。ドイツでは、2013年にMERSに感染した患者1人が死亡している。

 

チェコのネメチェク保健相は、中東呼吸器症候群(MERS)に感染した疑いのあるチェコ人男性(25)が同日、プラハの病院に入院したことを明らかにした。  男性は韓国のほぼ全土を観光旅行し、5月30日に帰国。6月14日に風邪の症状を示し、16日に熱が高くなった。韓国では患者のいる医療施設は訪れていないという。

6月17日

韓国の保健福祉省は、MERSコロナウイルスに感染して治療を受けていた54歳の女性が死亡したと発表。また、新たに8人の感染が確認され、感染が確認された人数の合計は162人となり、死亡者は20人となった。

 

新たに感染が見つかった8人のうち、33歳の医療スタッフについて現在感染経路の詳しい状況を調査中だとしている。他の7名についてはすでに判明している病院内での感染とみられている。  韓国の保健福祉省は、感染が確認されたあと治療を受けていた2人が退院したと発表し、感染者のうちこれまでに退院したのは19人になった。

 

韓国政府は、感染者と接触した人など合わせて6500人を自宅や医療機関での隔離の対象とするなど感染拡大に努めているが、新たに感染者、隔離の対象者は増え続けている。

 

韓国メディアは15日に感染が確認された50代の男性が、MERS感染で死亡した母親から自宅でウイルスをうつされていた可能性があると報じた。確認されれば、韓国では初の家庭内感染となる。

 

WHO(世界保健機関)は、韓国での中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染拡大について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」には該当しないとの見解を発表した。一方、各国には韓国の状況を「警鐘」として受け止め、予期せぬ感染症の拡大に備えるよう求めた。

 

WHOのフクダ事務局長補は同日の記者会見で、今後も感染者が見つかる可能性はあるが、新たな感染は減少しており、韓国政府も感染が疑われる人の追跡・監視などに尽力していると指摘。このため、16日の専門家による緊急委員会では全会一致で緊急事態にあたらないとと結論づける一方、「韓国は高水準の監視を保つことが重要だ」と強調した。また、現段階での韓国への 渡航や貿易の制限導入も必要はないとの見解を示した。

 

WHOによると中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染により2015年6月16日時点で、中東や韓国を中心に世界25カ国で1293人の感染が確認され、458人が死亡している。

 

ロシア極東沿海地方の当局者は、韓国から10日に帰国したウスリースク在住の女性が、ソウル郊外の病院でMERS感染者に接触した可能性があるとして、自宅隔離されていると明らかにした。女性には症状は出ておらず、感染の有無を調べるための検査が行われるという。 

6月18日
韓国の保健福祉省は「MERSコロナウイルス」に感染して治療を受けていた60代の男性2人と80代の女性1人の合わせて3人が死亡したと発表した。また、新たに3人の感染が確認され、これで感染が確認されたのは165人となり、このうち死亡した人は23人となった。
 
新たに感染が見つかった3人のうち2人はいずれも医療スタッフで、病院の中で感染し、1人については「感染経路を調査中」としている。
 
17日に感染経路を調査中とされていた33歳の医療スタッフは、ソウルの病院の放射線技師で感染者のレントゲン検査の際に接触し感染したと考えられている。
 
韓国政府は、「今月末には新たな感染者が出ないようにするのが目標」としていて、感染者と接触した人など合わせて6700人を自宅や医療機関での隔離の対象とする措置をとり、感染拡大を食い止めようとしている。
 
タイ保健省は病気治療のためタイに入国したオマーンの男性(75)が、中東呼吸器症候群(MERS)に感染していたことが確認されたと発表した。男性は15日に入国、心臓病の治療のため入院した病院で検査を受けた際、MERS感染が疑われる症状があり、専門家が感染の有無を調べていた。
 
成田空港では、水際での対策を徹底するため、韓国などからの便の到着に合わせて、検疫官が感染が疑われる人と一緒にいた場合には申告するよう注意を呼びかけている。
検疫所はこれまで、韓国や中東から到着した人たちに対し、ウイルスへの感染が疑われる人と一緒にいた場合には申告するよう、チラシやポスターを通じて呼びかけるにとどめていたが、17日にWHOが各国に対策を求める声明を出したことを受けて、水際での対策を徹底するために検疫官が到着した人たちに直接注意を呼びかけ、申告を促す取り組みを始めた。検疫所は、現地での滞在から2週間以内に発熱やせきなどの症状が現れた場合には、医療機関を受診する前に、最寄りの保健所に電話で連絡するよう呼びかけている。
6月21日
韓国の保健福祉省は、新たに3人が「MERSコロナウイルス」に感染していたことが確認されたと発表した。3人はいずれも病院の中での感染と考えられている。これで感染が確認されたのは死亡した25人を含む169人となった。また、治療を受けていた7人が新たに退院し、感染者のうち、退院した人は43人となっている。韓国政府は、今月中には感染の拡大を食い止めたいとしている。
6月22日
韓国の保健福祉省は、MERSに感染した人が新たに2人死亡し、死者の合計が27人になったと発表した。死者を含めた感染者数は172人と前日の発表より3人増えた。新たに亡くなった2人は80代の男性で、がんなどを患っていたという。
6月27日

国保福祉省は、MERSの感染被害で、新たに看護師の女性(27)の感染を26日に確認したと発表した。感染者は全体で182人になった。死者は増えておらず31人のまま。これまでに感染者の約半数の90人が退院したが、治療中の13人は不安定な状態という。

 

新しく感染した女性はソウル東部の江東慶煕大病院に勤務。同病院では今月上旬に治療を受けた女性(75)から入院中の男性(79)に感染したとみられる。この男性は18日に感染が判明するまで病院の透析室を度々利用しており、当局は院内感染が広がっている可能性があると警戒している。


7月2日

韓国の保健福祉省は2日の記者会見で、新たに1人が「MERSコロナウイルス」に感染していたことが1日に確認されたと発表。韓国で新たな感染が確認されたのは5日ぶりのこと。これで感染者は183人、このうち死亡した人は33人となった。

感染が確認されたのは、ソウルの病院で感染者の治療に当たっていた看護師で、保健福祉省は詳しい感染経路は調査中としている。