だいきろぐ

記録的ないろいろ

福島第1原発、アンダーコントロールなう

2015年

9月15日:せきから漏えいした雨水から放射性物質
東京電力福島第一原発構内の「H4北」タンク群の周辺を囲むせきから12日に漏れた雨水に、東電の排出基準値を超える放射性物質が含まれていた。
漏えいしたせき近くで測定したところ、セシウム134と同137、トリチウム、放射性ストロンチウムの濃度合計値は1リットル当たり25ベクレルで、排出基準値の同0・22ベクレルを大きく上回った。「H4北」タンク群では12日、大雨の影響で2つあるせきのうち内側のせきから雨水が漏れた。

9月14日:浄化した地下水、海に放出開始
東京電力は「サブドレン」からくみ上げて浄化した地下水の海洋への放出を始めた。計画実施で建屋への地下水の流入量が半減する見通しで、汚染水対策が大きく前進する。
14日は約850トンを放出する予定で、放出するのは昨年試験的にくみ上げ、浄化後にタンクに保管中の約4000トンの一部。放射性物質の濃度を最大約1万分の1に下げる浄化設備で処理し、排水基準を下回ったことを確認した。今月3日からは本格的なくみ上げも始めており、浄化後に海へ順次放出する計画だ。
東電によると、サブドレン計画を実施すれば、建屋への地下水の流入量を1日約150トンに抑えられるという。1~4号機周辺で土壌を凍らせて地下水の流入を遮る「凍土壁」の工事も進んでおり、一連の対策で来年度には流入量を1日100トン未満に減らす計画だ。
東電は昨年8月にサブドレン計画を公表し、地元の漁業関係者らと調整を続けてきた。しかし汚染した雨水が外洋に長期間流出していた問題が今年2月に発覚、議論がいったん白紙に戻った経緯がある。東電が謝罪と説明を続け、福島県漁業協同組合連合会が8月に計画容認を正式に決めた。
計画の実施にあたって地元は排水基準の順守を求めており、国と東電は厳しく監視する方針だ。

9月9日:汚染水問題解決に向け 地下水浄化し放出へ
福島第一原子力発電所で、建屋の周辺などからくみ上げた地下水を浄化して海に放出する新たな汚染水対策について、国と東京電力は、今月14日にも放出を始める方向で最終的な調整を進めている。
地下水により毎日新たに発生している300トンの汚染水を抑えるため、建屋の周辺に掘った「サブドレン」と呼ばれる井戸などから地下水をくみ上げ浄化して海に放出する計画。まず放出を始めるのは、去年8月以降に試験的にくみ上げた処理後の地下水およそ4000トンで、その後も地下水のくみ上げと浄化、放出を断続的に続けることにしている。
一方、福島第一原発では地下水が海に直接流れ出すのを防ぐため、護岸沿いに「遮水壁」と呼ばれる鉄の壁を打ち込む作業が進められている。この工事は地下水の放出のめどが立つまで中断されていたが、東京電力はこれについても今週中に再開し海側の護岸を完全に鉄の壁で囲う予定。一連の対策で新たに発生する汚染水の量を半分程度に減らせるほか、海の汚染も抑えられるとしている。

9月9日:放射性物質を含んだ雨水の海への流出を確認
福島第一原発で、放射性物質に汚染された雨水が海に流れ出ているのが見つかった。東京電力によると、9日午前0時半頃から午前4時半頃にかけて、福島第一原発にある海に直結している「K排水路」
と呼ばれる排水路から、放射性物質に汚染された雨水が断続的に海に流れ出ていたという。
この排水路からは、これまでも度々汚染された雨水が直接海に流れ出していて、東京電力は今年4月から、排水路の水をポンプでくみ上げて第一原発の港湾内に流す対策を採っているが、降雨量が多い場合にはポンプをフル稼働させても対応が追いつかず、汚染された雨水が海に流れ出てしまうという。今回流れ出た水の量や、放射性物質の濃度はまだ分かっていない。ポンプの運用を開始して以降、汚染された雨水が海に流れ出たのが確認されたのは今回で6回目で、東京電力は来年3月までにこの排水路の出口を港湾内に付け替えるとしている。

東電が4月に発見された廃液漏れ対策の一環として他の容器も調べたところ、今月中旬までに点検が済んだ684基のうち計30基で漏えいが見つかった。東電によると、廃液から出る強い放射線で水が分解され、水素ガスが発生。粘性の高い廃液中にガスがとどまり廃液の体積が膨張して水位が上昇し、上澄み部分が容器から漏れ出たとみられる。容器から上澄みを抜いて水位を下げるなど応急対策を進めつつ、残る約千基の調査を急いでいる。
また、東電は別途、同時期に発覚した廃液を収納しているふたに通気孔が開いていなかった問題で、通気孔を確認する調査を5月下旬に開始し、これまでに478基の点検を終え、少なくとも10基で穴の数に過不足があったと明らかにした。東電によると「ふたの不具合が原因の漏えいは見つかっていないが、資材の管理に問題があった」という。
6月21日

政府は廃炉・汚染水対策関係閣僚会議と原子力災害対策本部会議を相次ぎ開き、福島第1原発廃炉に向けた新たな工程表と東電による賠償期間の見直しを決定した。原子炉建屋にあるプールから核燃料を取り出す工程が見直され、15年度前半の搬出開始を見込んでいた3号機は17年度に延期されることになった。これにともない17年度中の着手を目指していた1、2号機も20年度にずれ込むこととなった。遅れが生じているのは準備に時間がかかっていることが理由。作業中のトラブルや機器の不具合に加え、建屋内の除染などが思うように進んでいないことが原因とされている。作業の大きな妨げとなっている汚染水問題についても触れられ、原子炉建屋などに流れ込み、汚染水の発生源となっている地下水などの流入量を16年度に現在の3分の1以下の1日100トン未満に減らすことを掲げている。20年までには、1~4号機建屋などにたまった汚染水の処理を終える計画。
また今後、避難指示が解除される見通しがある原発事故の避難者の精神的慰謝料については、これまでは17年3月より解除を前倒しした場合は、解除した1年後に賠償を打ち切る仕組みだったのを、18年3月まで続けるよう東電に求めることとなった。17年3月までに順次5万5000人の避難指示を解除する方針となっており、放射線量が比較的低い「居住制限区域」(約2万3000人)と「避難指示解除準備区域」(約3万2000人)が対象となる見込み。対象者は現在、東電から慰謝料として月額10万円を受け取っている。
6月12日

福島第1原発1号機では、建屋に散乱したがれきを撤去して核燃料を取り出すため、建屋を覆うカバーの解体を進めることになっていたが、建屋カバーの解体はさらに1か月以上遅れる見通しとなった。
カバーを外すと建屋内を吹き上がる風で放射性物質を含む粉じんが飛び散るおそれがあるため、東京電力は建屋内の吹き抜けの部分をゴム製のシートで塞いでいたが、解体作業を始める5日前にシートがずれているのが見つかり、作業を中断して原因を調べたところ、がれきや粉じんが飛び散るのを防ぐために、がれきにまいた薬剤の重さでシートがずれた可能性が考えられるという。東京電力は再発防止対策には今後1か月かかるとしている。
6月11日

今月2日に起きた廃液漏れの点検過程で、ガスを逃すために本来ふたに付いているはずの通気孔がない容器が見つかるという別の問題も発覚した。容器はALPSを運用する東芝が米国のメーカーに製造を委託。東芝は納品された後、通気孔の数を確認しないまま使用しており、東電側も性能をチェックする仕組みがなかったという。
4月29日

多核種除去設備(ALPS)で汚染水を処理する過程で生じる廃液を貯蔵している樹脂製容器1基のふたの周辺が濡れていることを作業員が発見した。樹脂製の容器(直径約1・5メートル、高さ約1・8メートル)に収められている廃液には、1リットル当たり10億~100億ベクレル前後の極めて高濃度のストロンチウムが含まれる。構内で保管する容器の数は増え続けているが、最終処分の方法は決まっていない。
4月2日