だいきろぐ

記録的ないろいろ

国と沖縄県が正面衝突!米軍基地移設という難問

2015年


10月26日:沖縄県辺野古承認取り消し処分の効力停止へ 国交相、27日にも発表の予定

米軍普天間基地の移設をめぐり、石井啓一国土交通相辺野古埋め立て承認を取り消した沖縄県の処分の効力を停止する方針を固めた。行政不服審査法に基づく防衛省沖縄防衛局の申し出を認める。27日にも発表する方針とみられる。

効力停止が認められた場合、沖縄防衛局は中断している辺野古での移設作業を再開するとみられる。近く埋め立ての本体工事に着手する構えだ。沖縄県は対抗するため、国と地方の争いを調停する総務省の国地方係争処理委員会に不服を申し立てる方針。そこで聞き入れられなければ、埋め立て承認の取り消し実現や、工事の差し止めを求めて提訴する構えで、法廷闘争が現実味を増している。

本来、不服審査は消費者などが国の手続きへの不服を申し立てる制度だが、沖縄県水産資源保護法に基づく県規則を根拠に沖縄防衛局に作業中断を指示した3月にも既に政府は活用している。


10月26日:辺野古3地区に振興費を直接支給

政府は米軍普天間基地名護市辺野古沿岸部への移設をめぐり、埋め立て予定地近くの地元3区長らと首相官邸で懇談会を開き、2015年度中に地元の要望に沿って、防災備蓄倉庫の整備などの地元振興費を名護市を通さず直接交付する方針を伝えた。辺野古移設に反対している名護市稲嶺進市長をけん制する狙いがあるとみられる。

出席した名護市辺野古、豊原、久志の「久辺3区」の区長は、インフラ整備や住民への補償を条件に辺野古移設を容認している。菅義偉官房長官は条件付き容認に謝意を示したうえで「今後の生活環境の保全、生活の向上、地域の振興に関してできるだけ配慮していくのは当然だ」と強調した。久辺3区長は昨年9月、菅長官に面会し、インフラ整備や住民補償を直接要望していた。


10月14日:沖縄知事「同じ内閣の中、審査請求は不当」

沖縄防衛局が県の埋め立て承認取り消しに関し、行政不服審査法に基づき石井啓一国土交通相に審査請求したことについて、沖縄県の翁長知事は「取り消しの翌日に審査請求を行うことは、政府の強硬姿勢を端的に示すもので誠に残念。『辺野古が唯一』という政府の方針が明確にされている中、同じ内閣の一員である国交相に審査請求を行うことは不当で、行政不服審査法の運用上あしき前例になる」とのコメントを発表した。コメントではさらに「県民、国民に県の考え方を引き続き訴えていく。今後も辺野古に新基地は造らせないという公約の実現に向け全力で取り組む」としている。


10月13日:宜野湾市長、普天間基地の危険性除去の停滞を懸念

宜野湾市の佐喜真淳市長は名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消しについて「取り消しがあったから(米軍普天間飛行場の)危険性の除去が停滞することはあってはならない」と指摘。翁長雄志知事に対し今後の危険性除去に向けた道筋を示すよう求める考えを重ねて示した。佐喜真氏は取り消しへの賛否については「知事の立場でやったことだからコメントする立場でない」として言及を避けた。一方、危険性の除去については、政府とともに県に対しても「目に見える形でやってもらいたい」と要求した。


10月13日:名護市長、政府による基地建設強行を牽制

沖縄県名護市稲嶺進市長は、翁長雄志県知事による辺野古埋め立て承認の取り消しを受けて同市役所内で記者団の取材に応じ、「知事の発表、そしてこれからの行動を全面的に支持していく」と述べた。国が取り消しへの対抗手段として、国土交通省への審査請求と効力停止を求めた上で、本体工事を強行する可能性について問われると「(埋め立て着手に必要な)名護市長の許可や協議が一項目もクリアされていない。それもなしに飛び越えてやるというなら、それこそ違法であり、それが許される日本ではないはずだ」と、くぎを刺した。


10月13日:辺野古承認取り消し、沖縄県知事が会見

沖縄県の米軍普天間飛行場宜野湾市)の移設計画を巡り、翁長知事は県庁で記者会見し、移設先である名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消したと発表した。

翁長氏は、「第三者委員会の報告を受けて検討した結果、承認には法律的な瑕疵があると判断した」と説明。「政府との集中協議でも、沖縄の考え方は理解いただけなかった。今後も、辺野古に新基地は造らせないという公約の実現に向け、全力で取り組む」と強調した。

県が沖縄防衛局に出した通知書では、「辺野古に建設する理由について実質的な根拠が乏しく、必要性を認めることができない」と指摘。承認手続きについて、県内移設を「地理的に優位」とする根拠が具体的に示されていない、対象地は貴重な自然を有し、埋め立てると自然への回復がほぼ不可能、などとし、取り消しが相当と結論付けた。


10月12日:民主党の細野氏「まずは沖縄の声を受け止めるべき」

民主党の細野氏は国会内で定例記者会見を開き、沖縄県の翁長雄志知事が同日午前、米軍普天間飛行場の移設をめぐり名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認の取り消し手続きを行ったことを受け、「政府が辺野古移設のための全作業を1カ月中断したにもかかわらず何ら事態が進展しなかった」「これまで政府と沖縄県が非常に激しく対立する形になっており、まずは沖縄の皆さんの声をしっかり受け止める責任が政府にはある」と指摘。県の承認取り消しに対して防衛省国土交通省行政不服審査の申し立てをすることについても「本来の法の趣旨からするとおかしいのではないか。制度も含めて、われわれとしては、まずは沖縄の声を受け止めて対応すべきとの考え方で、これから見解をしっかりと示していきたい」と述べた。


10月8日:名護市長、政府側の聴聞欠席「理解に苦しむ」

名護市稲嶺進市長は定例記者会見で、県が米軍普天間飛行場の移設計画に関する名護市辺野古の埋め立て承認の取り消しに向けて設定した「聴聞」に対し、沖縄防衛局が欠席したことについて「自分たちで(聴聞をやるべきと)言っておきながら参加しないのは理解に苦しむ」と批判した。

政府が引き続き移設に向けた作業を進めるとの姿勢を示していることには「知事が取り消すと工事をする根拠がなくなる。(知事の権限を)無視することになる。法治国家に反するのではないか」と指摘した。

島尻安伊子氏の沖縄担当相就任については「喜ばしいこと」と歓迎した上で、島尻氏が辺野古移設を推進する立場であることに触れ「基地と振興がリンクすることはないようにお願いしたい」と注文した。


10月7日:沖縄知事、辺野古埋め立て承認は来週取り消しと明言

沖縄県の翁長知事は、名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認を来週正式に取り消す考えを示した。県は同日、取り消しに向け工事主体の沖縄防衛局に対する「聴聞」の場を設けたが、防衛局側は欠席した。翁長氏は聴聞手続きが終了したとして「できるだけ早い時期に取り消しをする」と県庁で記者団に明言した。

官房長官は記者会見で、辺野古の本体工事について「手続きが済み次第、着工する」と述べた。政府は取り消しに法的措置を取って対抗し、今秋の本体工事着手を目指す。


9月21日:翁長知事、国連辺野古移設反対を訴える

沖縄県の翁長知事はスイス・ジュネーブ国連欧州本部で沖縄の市民団体が催したシンポジウムで講演、米軍普天間飛行場名護市辺野古移設には「大変な理不尽さがある」と訴えた。引き続き日本時間の深夜に国連人権理事会で演説、辺野古反対の立場を発信する予定。国際社会で沖縄の主張に理解を広げ、移設推進で一致する日米両政府に批判的な世論を喚起するのが狙い。

翁長氏は、沖縄に米軍基地が集中する実態に触れ「日本政府は、安全保障を日本全体で考えられない」と批判。地元の反発をよそに移設作業が進められている現状に関し「日本の民主主義がどうなっているのか、関心を持ってほしい」と聞き手に呼び掛けた。

かつての琉球王国が日本に併合され、太平洋戦争後には米施政権下に置かれた沖縄の歴史的経緯を説明。「時代の変化の中で、自己決定権を踏みにじられてきた」と強調した。

辺野古移設をめぐっては、政府が県との集中協議に伴い中断していた関連作業を12日に再開。対抗する翁長氏は辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消しを表明し、帰国する24日以降に正式に取り消す方針を示している。