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記録的ないろいろ

ヨーロッパ先進国は難民を救えるのか?

2015年

10月25日:ポーランド上下両院選挙で反難民の最大野党が圧勝
出口調査によると、難民受け入れに反対する最大野党「法と正義」が得票率で4割近くに達し、他党と連立を組んでいる中道右派の与党「市民プラットフォーム」を引き離している。「法と正義」の首相候補とされるシュドワ氏は25日、カチンスキ党首とともに勝利宣言した。
コパチ政権は9月、欧州連合(EU)の難民割り当てに同意したが、カトリック信者が多い同国ではイスラム教徒への警戒心が強く、難民受け入れに反対する「法と正義」に支持が集まったとみられている。

10月23日:オーストリア、難民への対応が限界に達し国境一時封鎖
オーストリア南東部シュピールフェルトのスロベニア国境に中東などからの難民や移民が大勢押し寄せ、警察は22日夜から23日昼すぎにかけて国境を一時封鎖した。シュピールフェルトの難民受け入れ施設には1500人以上がおり、寒さの中、テントに入れない難民もいる。国内の別の施設も収容能力が限界に達し、シュピールフェルトから難民らを移送できなかったため、国境を封鎖したという。
スロベニア側では難民ら約2500人が立ち往生、うち数百人がオーストリアにつながる線路上を歩き出し、混乱が生じた。

10月18日:難民政策への不満で襲われたドイツ、ケルン市長選の女性候補が当選
17日、政府の寛容な難民政策に不満を持つ男に襲われ大けがをしたドイツ、ケルン市長選挙の女性候補、ヘンリエッテ・レーカー氏(58)が18日の投開票の結果、52%余りの票を得て、2番手の候補に20ポイントの大差をつけて当選した。事件をきっかけに市民の間で極右などの犯罪への警戒感が高まったことが背景にあるとみられている。
レーカー氏を襲った44歳のドイツ国籍の男は20年ほど前に極右組織に所属した経歴があり、捜査当局の調べに対し「外国人がわれわれの仕事を奪う」などと、ドイツ政府の寛容な難民政策に不満を示しているという。
 
10月18日:スイスで反移民政党躍進
18日に投開票したスイスの総選挙は、第1党で反移民を掲げる右派の国民党が下院の議席数を2割伸ばし、勢力を大幅に拡大した。中東などからの難民が欧州へと押し寄せるなか、国民の不安が選挙結果に反映された形となった。
この背景には、スイスでは既に独英仏などからの外国人が人口の約25%を占めていることへの不満もあるとみられている。人口比で見ると、難民の受け入れも欧州ではスウェーデンとマルタに次いで多い。既に2014年2月の国民投票で移民の受け入れに上限を設ける提案を僅差の賛成多数で可決している。

9月21日:「不法移民は許さない」ハンガリー政府がレバノンで広告
ハンガリー政府はレバノン各紙に広告を出し「ハンガリーは不法移民を許さない」と訴えた。人口500万人に満たないレバノンには、100万人を超えるシリア難民が流入している。
広告は「『おもてなし』の心を大事にするハンガリーだが、不法入国者には最も強硬な対応を用意している」と警告。「密入国業者の言うことを聞いてはいけない。ハンガリー密入国を絶対に認めない」と強調している。
これに対抗する形で国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」もレバノン各紙に広告を掲載。「生きるために逃れてきた人々を追い返せば、国家による新たな悲劇を生むことになる」と訴え、難民にもっと門戸を開放するよう欧州連合(EU)に呼び掛けた。
 
9月15日:難民流入でハンガリーが非常事態宣言
ハンガリーには、旧ユーゴスラビアセルビアを経由して多い日には9000人を超える難民や移民が押し寄せており、政府はセルビアとの国境に近い南部の2つの県に「非常事態」を宣言した。
国境付近には、すでに多くの警察官が配置されているが、これによって軍の部隊を展開させることが可能になるなど、政府にはより強い権限が与えられることになる。
違法な入国を防ぐために国境沿いに設置されたフェンスを破損した場合の罰則を設けたり、密入国をあっせんした際の刑罰を重くしたりするなど、国境管理を強化する法律も施行され、すでに170人以上が拘束されている。
ハンガリーはさらに、セルビアとの国境沿いに設置していたフェンスをルーマニアとの国境にも建設するための準備を始めた。隣国のセルビアには、国境管理が強化されたことによって、ハンガリーに入国することができない大勢の難民らが足止めされていて、抗議活動を行っているほか、セルビアハンガリーに対して国境を開くよう強く求めている
 
9月14日:EU内相会議、難民受け入れ義務化合意見送り
EUの内相会議が開かれ、各国で難民を分担して受け入れる案の実現に向けて、最大限、努力していくことで一致したが、焦点となった受け入れの義務化では合意がなされなかった。
ベルギーブリュッセルで緊急に開かれた内相会議では、ギリシャやイタリアなどに到着した難民の受け入れ数を、当初の4倍の16万人に引き上げるというEU案に多くの国が賛成し、大筋で合意した。
一方、人口や経済力に応じてEUが各国に割り当てた人数の受け入れを義務化するかどうかを巡っては、ドイツやフランスが強い支持を訴えたのに対し、チェコスロバキアなどが、受け入れに寛容な姿勢を示せば、難民の流入をさらに加速させかねないとして反対の姿勢を崩さなかった。この結果、EU全体での受け入れの目標数を達成するため各国が最大限、努力することで一致したものの、受け入れ義務化についての合意は見送られた。
会議後の会見でEUの難民政策を担当するアブラモプロス委員は「EUが目指した合意は得られなかった」と述べたうえで、各国に応分の責任を果たすよう改めて呼びかけた。EU各国は今後、それぞれ受け入れる難民の数を示し、来月8日に再び開く内相会議で詰めの協議を行うとしている。
 
デンマークが難民の国内通行を容認
中東などから欧州へ押し寄せてきた難民が経由地のデンマークで足止めされていた問題で、同国政府は電車などで隣国ドイツから入国してきた難民の国内通行を容認した。地元メディアなどが伝えた。多くの難民は、受け入れに寛容なスウェーデンに向け移動を再開した。
デンマークには今月6日から約3200人の難民が列車やフェリーを利用して入国。難民急増を受け政府は8日、ドイツからの鉄道網などを閉鎖し、混乱が広がっていた。ドイツとの国境近くの駅パドボルグでは9日夜、駅構内に収容された難民の解放を求めるデンマークやドイツの活動家約50人が、警官隊に瓶を投げつけて抗議し逮捕者が出た。
9月10日
 
アメリカはシリア難民を少なくとも1万人受け入れることを決定
オバマ米大統領は2016会計年度にシリアからの難民を少なくとも1万人受け入れる方針を決めた。アーネスト大統領報道官が10日の記者会見で明らかにした。
アーネスト氏によると、シリア内戦が始まった11年から現在までに米国が受け入れたシリア難民は約1500人で、今回の決定を「大幅な規模拡大だ」と強調した。ただ、人権団体や議会の一部には、米国が6万5千~10万人規模のシリア難民を受け入れるべきだとの指摘があり、不十分との批判も出そうだ。
同氏は「問題の規模を考えると、最も効果的な対応は国際社会が地域やシリアでの人道支援を拡大することだ」と指摘。米国がシリア難民への人道支援に40億ドル(約4800億円)を提供したと繰り返した。米政府は16会計年度に世界各国から受け入れる難民総数の上限を現行の7万人から引き上げる見通しだ。アーネスト氏はシリア難民の1万人がこの枠内に含まれるのか、上乗せするのかは明言しなかった。
シリア難民の受け入れ拡大を巡っては、クラッパー国家情報長官が過激派組織「イスラム国」の要員が紛れ込む恐れを指摘したほか、議会にも懸念の声がある。アーネスト氏は「難民は米国に入国しようとする誰よりも厳しい安全審査を受ける」と強調した。
9月10日
 
オランダ極右党首、難民の流入は「イスラムの侵攻」
オランダの極右政党、自由党ヘルト・ウィルダース党首は10日、議会での討論で、シリアなどから欧州への難民の大量流入は「イスラムの侵攻」だと述べた。同党首は「アラーの神をたたえる歌を歌う髭面の若者が欧州を縦断している。これは我々の繁栄や安全、文化やアイデンティティを脅かすイスラムの侵攻だ」と主張した。
9月10日
 
ハンガリーを突破するために歩き続ける難民
ハンガリー南部レスケで、シリアなどからセルビアを経て国境を越えて来た移民や難民のうち500人前後が収容施設への移送を拒否し、首都ブダペスト方面に向け歩き始めた。機動隊員ら数十人が隊列を組み、警察犬も投入し制止しようとしたが、難民らは強引に突破し、高速道路や幹線道路に進入した。
難民らは拳を突き上げ「キャンプは嫌だ」と連呼。水の入ったペットボトルを機動隊に投げ付けた。押し寄せる難民の波に機動隊はなすすべがなく、警察は高速道路を封鎖した。
国境沿いには難民を収容施設に運ぶ数十人乗りのバスが約10分間隔で到着するが、難民が数千人にふくれあがり、輸送が追いつかない。難民らが警察の制止を振り切って高速道路などを歩き、交通が混乱する事態が連日続いている。シリアから来たタイシールさん(23)は「ベルギーで経済を勉強したいので、ハンガリーでは難民申請したくない」と話した。
9月9日
 
オーストラリア、難民1万2000人受け入れを発表
中東やアフリカから大勢の難民や移民がヨーロッパに流入するなか、オーストラリア政府はイラクやシリアから逃れてきた難民1万2000人を受け入れると発表。オーストラリアのアボット首相は首都キャンベラで記者会見し、難民の受け入れの他、難民キャンプに水や食料などを支援するため、4400万オーストラリアドル(日本円でおよそ37億円)を拠出するとしている。また首相は、大勢の難民が生じている原因は過激派組織ISの台頭にあるとして、アメリカ主導の有志連合がシリアで行っている、ISの拠点に対する空爆に参加することを明らかにした。首相は「ISを壊滅させることは、中東での人道的な危機を終わらせるだけでなく、われわれへの脅威をなくすためにも必要だ」と述べた。
9月9日
 
国連「EUの難民受け入れ、16万人では不十分」
中東やアフリカから難民や移民がヨーロッパに押し寄せている問題で、国連は、EUが掲げる難民の受け入れ人数では不十分だとして、ヨーロッパ各国が受け入れ態勢を整えるよう求めた。
中東やアフリカからヨーロッパに流入した難民や移民の数は、ことしこれまでに38万人を超えていて、EUは域内全体で合わせて16万人の難民を受け入れる方針を示している。
これについて、UNHCR国連難民高等弁務官事務所のフレミング報道官は、スイスのジュネーブで記者会見し「現状を見れば、必要な人数は20万人になるはずだ」と述べ、EUが掲げる受け入れ人数は不十分だという認識を示した。そのうえで「各国が議論している以上に緊急事態であり、ドイツだけではなく、ヨーロッパ全体の問題になっているのは明らかだ」と述べ、多くの難民が目的地としているドイツだけでなく、ヨーロッパ各国で受け入れ態勢を整えるよう求めた。
9月9日
 
EU、難民受け入れ数16万人の案提示
EUのユンケル委員長は、フランスのストラスブールのヨーロッパ議会で演説し、EUが現在直面する最大の課題は難民問題だとして、「大胆で結束した行動をとるべきときが来た」と述べた。
EUはことし5月、イタリアとギリシャに到着したシリアなどからの難民4万人を受け入れる方針を示していたが、委員長はこれにハンガリーに到着した難民も加え、受け入れ数を合わせて16万人に引き上げる案を示した。
そして、これらの難民を、加盟国で経済規模や人口などに応じて分担して受け入れることを義務づけたいとして、来週の14日に開く臨時の内相会議で協議する方針を示した。また、難民が在留許可を認められるまでの期間、就労が認められるよう、各国に法整備の検討を求めた。
難民の受け入れを各国に義務づける提案には、ポーランドチェコなど東ヨーロッパの国々が、経済的な負担が大きいなどとして強く反発しており、各国から合意を取りつけられるかは不透明な情勢。
なお、イギリスとアイルランドデンマークの3か国については、EUの難民政策を定める規定から免除されているため、分担の義務を求められていない。
9月9日
 
アメリカ大統領報道官は難民問題に具体的な言及を避ける
アーネスト米大統領報道官は、シリアなどから欧州に多数の難民が流入している問題について「解決に貢献するため様々な対応を積極的に検討している」と表明した。具体策については言及を避けた。
国務省のカービー報道官は同日の記者会見で、対応は決定していないとした上で「難民の再定住は真剣に検討している」と説明した。テロリストなどの潜入を防ぐため、適切な審査手続きも重要だと指摘した。カービー氏によると、米国が受け入れるシリア難民は今月末までに約1800人になる見通し。
米国は毎会計年度に世界各国から受け入れる難民数の上限を定めており、2015会計年度は7万人だった。
9月8日
 
フランス極右リーダーは難民は人道的危機に瀕してはいないと主張
フランス大統領のフランソワ・オランドが9月7日夜、今後2年間にさらに2万4000人の移民や難民を受け入れると発表した一方、極右のリーダー、マリーヌ・ルペンは数万人のシリア人がヨーロッパに避難せざるを得ない人道的危機の状況にあるということを否定した。
ルペンは「政治難民は絶対的に少数です」と、ラジオ・モンテカルロで話した。しかし、その証拠の1つとしてあげられたのは「テレビで」見せられた写真だった。ドイツに到着して喜んでいる子供たちの姿が世界中に広まった写真だ。
「私は、ハンガリーからドイツに流れてきた不法移民たちの写真を見てきましたが、写っている99%が男性です。彼らは、国から逃れて故郷に家族を残してきた男性で、迫害から逃げているわけではないと思います。明らかに経済的理由からです」とルペンは話した。
ルペンが自信をもって引用した統計は、国際的な支援団体が公表したデータとは食い違っている。先週、ユニセフマケドニアを一日の間に通り抜ける3000人の移民や難民の3分の1が女性や子供たちだと推定した。ユニセフによれば、この女性たちの12%は妊娠しており、その割合は増え続けているという。
7日に発表された別の報道資料では、ユニセフは「今年ヨーロッパに避難してきた人々の4分1は子供で、2015年の初めの6カ月で10万6000人以上の子供が避難してきており、その数は昨年に比べて75%増えている」と推定した。
現段階では、移民の理由はルペンが言ったような経済的なものだとは断言できない。年齢と性別の他に、ヨーロッパ当局の手に入る移民や難民のデータは、彼らの出身国のみ。今年の初めからヨーロッパに避難してきた34万人の大部分はシリア出身だ。シリアでは、人々は暴力的な内乱で身動きがとれず、過激派ISのテロ活動が行われている。
国民戦線は、移民や難民を「不法移民」と呼ぶ。首相のマニュエル・ヴァルスの政権や穏健な保守派の声とは反対だ。国民戦線や、右翼や極右政党が結集した政治連合による町議会の中に、不法移民を歓迎するところは1つもありません」。国民戦線党の副党首、スティーブ・ブリワは8日の報道発表でそう話した。「政府や自治体が取ることができる唯一の持続可能なアプローチとは、すべての不法移民を元の国へ戻すという確固たる方針を固めることです」この感情は、極右にとっては何も新しいものではない。ルペンは昨年10月に北部の都市カレーへ行ったとき、フランスに「庇護権を受けることができる基準をもっと厳しくすること」、そして移民を「戦争で荒廃していても自国に帰すこと」を勧めた。
9月8日
 
難民問題で国連がハイレベル会合
国連潘基文事務総長は、欧州に殺到する難民問題に関するハイレベル会合を30日にニューヨークで開くことを報道官を通じて明らかにした。国連総会に集まる首脳を招き開催する。潘事務総長はシリアなどから欧州に押し寄せる難民の多くは「戦争や暴力から逃れ、差別されることなく保護を求める権利がある」とし、「欧州の指導者は人道的かつ責任をもって行動すべきだ」と呼びかけた。
9月8日
 
イギリスがシリア難民2万人受け入れへ
内戦が続くシリアなどからヨーロッパに多くの難民や移民が押し寄せている問題で、イギリスのキャメロン首相は、シリア国境周辺の難民キャンプから今後5年間で最大2万人のシリア難民を受け入れる考えを明らかにした。
キャメロン首相は議会で「最大2万人のシリア難民の受け入れを提案する」と述べ、今後5年間でシリア国境周辺の難民キャンプから子どもや孤児を優先して受け入れる方針を明らかにしました。対象となる難民には直接、イギリスへ渡航する安全なルートを提供するとしていて、すでにヨーロッパ各国に流入している移民や難民については、「危険な渡航を助長したくない」などとして受け入れには否定的な姿勢を示した。
9月7日
 
ドイツが難民支援費として60億ユーロ追加
ドイツのメルケル首相は難民支援費を来年に60億ユーロ(約8000億円)追加する計画を発表した。同国には週末に多数の難民が押し寄せており、欧州の難民問題は第2次世界大戦以降で最大の規模に拡大している。首相は2016年ドイツ連邦予算で30億ユーロ、州・地方政府レベルでも同額をそれぞれ追加するとし、難民関連の追加費用が来年に全体で100億ユーロに達する状況も「全く考えられないわけではない」と述べた。メルケル首相はベルリンで、「銀行の救済では、われわれの行動は迅速だった」とし、難民への対応でも「地方や州政府の負担を和らげるのに必要な措置を、同様に迅速に講じなくてはならないと思う。われわれが経験しているのは、向こう数年にこの国を変えるものだ」と付け加えた。
9月7日
 
ハンガリーは難民排除の強硬策
ハンガリーは難民を排除する強硬措置を打ち出している。オルバン首相はブダペストで、「『この国の通過はさせないので、入国を試みないでほしい』と何度でも繰り返し伝えるしかない」と言明。さらに新法で国境防衛システムは変わり、「違法な越境者は自動的に収監か排除となる」と付け加えた。こうした強硬姿勢にドイツやオーストリアは反発。両国は4日遅く、欧州連合(EU)への移民に最初の入国先での登録と滞在を義務付けるEU規則を一時的に停止。この措置によって、ハンガリーに集まっていた難民はオーストリアに徒歩で向かい、その後に電車でミュンヘンに到着。そこからドイツ各地の施設に受け入れられた。EUの行政執行機関である欧州委員会は9日に難民が政治的な迫害を受けず「安全に」戻れる国のリストを提案するとともに、EU域内で難民受け入れをもっと公正に分担する計画を発表する予定。
9月7日
 
独副首相「年間50万人の難民受け入れ可能」
ドイツの副首相を務めるガブリエル経済・エネルギー相は7日、公共放送の番組の中で、「ドイツはこの先数年の間、年間50万人の難民を受け入れることが十分に可能だ」と述べた。理由として、ガブリエル副首相は、好調な経済や労働力不足を挙げ、難民らの受け入れに伴う増税は必要ないとしている。
ただ、難民の受け入れを進めるドイツ各地の州や自治体は、政府の支援が不十分だとして、さらなる財政的な支援を求めており、市民の間では負担の増加を懸念する声も広がっている。
9月7日
 
欧州への難民・移民 1月以降で38万人近くに
中東やアフリカからヨーロッパに流入する難民や移民は増加の一途をたどっており、IOM=国際移住機関によると、ことし1月以降流入した人の数は、7日現在で37万8000人余りと、去年1年間の21万9000人を大幅に上回っている。
このうち、ギリシャからヨーロッパに入った人の数は25万6000人余りと最も多くなっていて、特に内戦が続くシリアを逃れ、トルコを経由して流入するケースが多くなっている。
また、イタリアから入った人の数は11万9000人余りで、エリトリアやナイジェリアなどアフリカからリビアを経由して流入するケースが目立っている。
難民や移民が地中海を船で渡ろうとして遭難したり、悪質な密航業者により船倉に押し込められ、窒息死したりするケースは後を絶たず、IOMによると、今年はこれまでに死者が2760人となっていて、去年を上回るペースで増え続けている。
9月7日
 
ローマ法王フランシスコは、欧州のあらゆるカトリック教区などに対し、紛争と貧困から逃れるためにやって来た何千もの難民らの家族のうち、1家族ずつそれぞれ受け入れるよう呼び掛けた。欧州の人道的危機克服のため自らの道徳的権威をふるった形だ。法王は、日曜の正午の伝統的なアンジェラスの祈り(お告げの祈り)の後、バチカンのサンピエトロ広場に集まった群衆に対し、「欧州のあらゆる教区、あらゆる教団、あらゆる修道院、あらゆる教会がそれぞれ1家族を受け入れんことを」と述べた。
9月6日
 

人道の危機から目を逸らし手をこまねく政府に業を煮やした市民がヨーロッパのあちこちで難民支援に立ち上がっている。

 
首都ブダペストで数千人の難民が何日も足止めを食い、警官と揉み合いになるなど大混乱に陥ったハンガリーでは、あるイベント会社のボランティアが屋外で『トムとジェリー』のアニメを放映した。子供たちに、束の間の幸せと笑顔が戻った。
 
オンラインの外国語文例集(ドイツ)
言語学者や芸術家などの専門家が集まって、難民に役立つ外国語文例集を作成。基本的な語彙や最も必要となる文章を、28カ国語分用意した。例えばこんな文例だ。「私は刺されました」「わかりません」「すみません、何一つ残っていません」
 
難民に自宅を開放(いくつもの国で)
おそらく世界で一番平和な国、アイスランドの住民が、世界で最も平和でない国、シリアから逃れてきた難民を自宅に引き取っている。ある大学教授がフェイスブックで募集したところ、1万2000人以上から申し込みがあった。ドイツのベルリンでも、難民のルームメイトを探すサイトが立ち上がった。スペインでは、マドリードバルセロナを含む自治体が、難民に優しい環境作りに取り組んでいる。
 
バイエルン・ミュンヘンがサッカー教室(ドイツ)
ブンデスリーガ最強のバイエルン・ミュンヘンは、難民の子供にサッカーを教える学校を作る。その費用約100万ユーロは、チャリティー試合で調達し、寄付する予定だ。そのウェブサイトにはカールハインツ・ルンメニゲCEOのメッセージが載っている。「難民や子供たちを支援し、ドイツに迎え入れるのは我々の社会的責任だ」
 
難民反対の抗議ではない。難民を助けない政府に対する抗議デモだ。先週、オーストリアで保冷トラックの荷台に詰め込まれて窒息死した難民71人が発見されたのをきっかけに、ウィーンで約2万人が抗議デモを行った。掲げられたプラカードには、「難民歓迎」「ヨーロッパを集団墓地にするな」などの文字が躍った。スウェーデンも日曜、難民歓迎デモを訴えるフェイスブックのグループの呼びかけに2万人が集まった。イギリスでも、今週末にデモを行う呼びかけに対し、7万7000人が参加すると答えている。
 
旅行しながら難民向けの物資を運ぶ(デンマーク
デンマークの2人のツアーガイドは航空会社数社と交渉し、旅行参加者の荷物の重量制限を緩和してもらった。これで、ギリシャにいる難民への支援物資を追加で20キロ、無料で運ぶことができるようになった。これまでに約500人の旅客が衣料品や毛布、玩具など計10トンを届けたという。
 
億万長者もビッグな支援
エジプトの実業家でアフリカでも十指に入る大富豪、ナギブ・サウィリスは、難民のためにイタリアかギリシャの島を買うと言っている。ロックミュージシャンのボブ・ゲルドフは、イギリスのロンドンにある自宅に難民の3家族を引き取るという。
9月
2015年